この1年の研究において「Super Twistor Space and N=2 supersymmetric Instantons」の論文が完成し、雑誌に掲載決定した。研究計画書に書いた研究目的の半分が達成されたことになる。今年1年の研究成果を述べる。 まず4次元ユークリッド空間上のN=2超対称性を数学者にも分かりやすく定義した。またスーパーツイスター空間をリーマン球面上のある種のスーパーべクトル束として定義した。(4、4N)次元の複素スーパー空間がそのスーパーツイスター空間のセクションの空間として導かれる。その実空間として(4、4N)次元のスーパーユークリッド空間Xが表れる。さらにX上のスーパーベクトル束のスーパーヤンーミルズインスタントンをスーパー曲率を使って定義した。この定義は物理学者が定義したものより数学的に簡潔に表現されていて、計算上見通しが良いと思われる。これらの設定の下次の2つの定理が得られた: 定理1:(4、8)次元のスーパーユークリッド空間X上N=2スーパーヤンーミルズインスタントンは複素(3、2)次元のスーパーツイスター空間上のある条件を満たすスーパー正則ベクトル束と一対一に対応する。 スーパーベクトル束の構造群をどう取るかによって「ある条件」が決まることに注意する。またそれに従いインスタントン数もきまる。 定理2:スーパーベクトル束の構造群をSU(2)に固定する。その時ある条件を満たす四元数スーパー行列(ADHMスーパー行列と言う)はX上の第2チャーンがkとなるN=2スーパーヤンーミルズインスタントンになっている。 この定理2の逆、すなわち「N=2スーパーヤンーミルズインスタントンはこのADHMスーパー行列に尽きる」という結果が得られている。この結果は現在論文にまとめている。証明はスーパーツイスター空間上のスーパー正則ベクトル束のコホモロジー理論が主役となる。その際、スーパー多様体上のSeere双対定理(すでに知られている)やチャーン類(新しく定義した)などを使う。
|