Semi-Riemann多様体上の閉二次微分形式を電磁場と呼ぶ。電磁場付きのsemi-Riemann多様体に対して測地線の概念を拡張した荷電粒子の運動方程式を考えることが出来る。例えばケーラー多様体上のケーラー形式の定数倍や佐々木多様体のケーラー形式の類似物の定数倍は電磁場であるが、これらの場合には荷電粒子の運動を調べることはケーラー構造や佐々木構造を強く反映すると考えられる。電磁場が電磁ポテンシャルを持てば荷電粒子の運動方程式は電磁ポテンシャルを利用して適当に作用積分を定めることによりLagrangeの力学になるが、たとえ電磁場が電磁ポテンシャルを持たなくても相空間上の標準シンプレクティック構造を電磁場により変形し、力学的エネルギーに対応する相空間上のハミルトン関数を考えることにより荷電粒子の運動はハミルトン系になることを示した。更にsemi-Riemann多様体MがG-等質で(1)Gが半単純であるか、または(2)Mの一次元ドラムコホモロジー群が消えているなら荷電粒子の運動はもし自交点を持つなら周期的な単純閉曲線となることを示した。応用として一次元ドラムコホモロジー群が消えているような等質ケーラー多様体には平坦な複素トーラスが全測地的複素部分多様体としては入らないことを示した。また、ある条件を満たすケーラーC-空間内の標準電磁場に関する荷電粒子の運動をGへの指数写像を用いて表現した。この結果は堂平の測地線に関する定理の拡張である。この結果を利用してエルミート対称空間内の標準電磁場に関する荷電粒子の運動の速度ベクトルはキリングベクトル場に拡張出来ることを示した。佐々木φ対称空間内の荷電粒子の運動についても調べた。リーマン沈め込みにより水平な測地線は測地線にうつるが、このことを踏まえて佐々木多様体から一次元低いケーラー多様体への佐々木-ケーラー沈め込みによって佐々木多様体内の荷電粒子の運動はケーラー多様体内の荷電粒子の運動にうつることを示した。特に、佐々木多様体内の水平とは限らない測地線は佐々木-ケーラー沈め込みによって荷電粒子にうつることがわかった。
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