本年度は、研究課題の2つの話題のうちの1つ「4次元球面内の曲面について」の研究を今後発展させていくために、概エルミート幾何に関する研究を積極的に行い、その過程で以下の成果を上げることができた。 研究代表者が最近、村越(新潟大)、関川(新潟大)との共同研究で行った、四元数的概エルミート多様体の積分可能性に関する研究(Hitchinの定理「四元数的概ケーラー多様体は、四元数的ケーラー多様体(ハイパーケーラー多様体)である。」の一般化に関する研究)について、特に4次元の場合の考察が残されていた。それに対して今回、二本柳(新潟大)、関川(新潟大)との共同研究を行い、4次元四元数的概エルミート多様体の基本構造について詳しく調べ、次の二つの結果を得た。 ○「4次元コンパクト四元数的概エルミート、アインシュタイン多様体は、リッチ平坦かつ*-リッチ平坦な四元数的パラケーラー多様体である。さらに、それは平坦であるか、その普遍被覆空間が四元数的ケーラー構造をもつリッチ平坦なK3曲面であるかのいずれかである。」 ○「非正スカラー曲率をもつ4次元コンパクト四元数的エルミート多様体は、四元数的ケーラー多様体である。」 研究代表者は、これらの結果とその周辺の話題について、「第49回幾何学シンポジウム」(大阪大学)および「第6回複素構造とベクトル場に関する国際研究集会」(ブルガリア)において、口頭発表を行った。
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