研究概要 |
14年度の最大の研究成果は,(ω^ω,【less than or equal】^*)への順序構造の埋め込みに関するHechlerの定理と同様の結果が,ルベーグ零集合およびベール第一類集合のなすイデアルについても成り立つことを示したことである.この結果は,強制法理論における古典的な結果であるHechlerの定理に,新たな見方を与えるとともに,実数直線の集合論的構造に深く関わるルベーグ測度とベールのカテゴリについて,研究を推進するための強力な道具を提供するものである.また,Hechlerの原定理の証明を分析することにより,より一般的な反復強制法の原理を導き出す試みも行っている. 基数不変量szは,部分関数の連続性に関するSierpinski-Zygmundの定理が成り立つ最小の基数として定義される.この基数szについて,既知の基数不変量との関係を調べた.その結果,Cichonの図式に表れる基数は,いずれもszよりも真に大きくなることが無矛盾であることが示された.これによって,ZFCで証明可能なszの下限については一応の解決をみた.ZFCで証明可能なszの上限については,現在も研究中である.
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