研究概要 |
本年は、3年計画の本研究課題の最終年に当たることより昨年度までの研究を続行していくだけでなく、総括的な研究も行なった。 1.直交デザインと自己双対符号の研究: まず、昨年度幾つかの進展があった、直交デザインと自己双対符号の研究を進めて行った。長さ72の極値的重偶自己双対符号の存在はまだ分かっていない。代数的符号理論における有名な未解決問題の一つである。この符号が存在すれば直交5-(72,16,78)デザインが存在することが分かっていたが、逆も正しいことが昨年度に示すことが出来た。長さが24の倍数は長さ24と48を除いては極値的重偶自己双対符号の存在はまだ一切分かっていない。今年度は、長さ96の極値的重偶自己双対符号が存在すれば自己直交5-(96,20,816)デザインが存在するが、長さ72のときと同様に逆も正しいことが証明できた。今度の課題としては、これらのデザインの存在性を決めることが挙げられるがこれは困難な課題だと思われる。 長さが24の倍数でない場合についても研究を進めた。特に、長さ56の場合、多くの新たな極値的重偶自己双対符号の構成に成功し、新しい自己直交3-(56,12,65)デザインの構成を行なった。直交デザインと自己双対符号については総括的な研究も行なった。 2.直交デザインから得られる自己双対符号: 24次元の偶ユニモジュラー格子のなかでリーチ格子のみが最小ノルム4を持ち、非常に有名な格子の一つである。位数12の直交デザインを用いて、リーチ格子を構成するような位数pの有限体上の自己双対符号の構成を行なった。また、同様に、最小重さが最大となるMDS自己双対符号の構成も直交デザインを用いて行なった。これらから、有限体上の自己双対符号の構成に、直交デザインは有益であることが分かった。
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