1.代用電荷法は、一種の「radial basis function」による関数近似法と見なすことができる。そして、代用電荷法における電荷点配置問題が、関数1/(z-c)に対するLagrange補間多項式の零点分布と関連があるように思えるため、これについて詳しく研究した。まだ発展の余地はあるが、標本点が楕円上に等間隔に配置されている場合については顕著な結果を導くことができたので、昨年度、それを中心とした論文「関数1/(z-c)のLagrange補間多項式の零点に関する一考察」を日本応用数理学会論文誌に投稿し、今年度、掲載された。 2.Bernstein作用素は代数多項式で表現され、形状保存性を持つ線形近似作用素の中で(ある意味で)最良であることが知られている.そこで、この代数多項式に関する結果に対し、三角多項式で表現される正線形近似作用素に関しても、何らかの最適化問題を考察することができるだろうという着想を得た。そして実際、その最適化問題を定式化した上で「Fejer-Korovkin作用素」と呼ばれるものが最良であるという結果を導くことができた。この結果に対し、Fourier級数・Fourier積分・離散Fourier変換との関連や物理的意味等について、現在研究している最中であり、結果がまとまり次第、Journal of Approximation Theoryのような専門誌に投稿する予定である。 3.他にも、「最良の関数近似法は何か」という問題に対し、様々なアイディアや手法を発見した。まだ、それらを具体化する段階には至っていないが、今後順調に事が運べば非常に意義深い成果を出すことができそうだという手応えを得ている。
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