局所体上の準安定過程について、再帰性、独立同分布確率変数列の和の極限分布としての特徴づけを行った。従来、これらの結果は原点を中心とする回転で不変な準安定過程についてのみ、自らの研究により得られていたが、それを回転で不変でない一般の準安定過程についても拡張した。 まず、準安定過程の推移確率の特性関数の標準表現を特徴づけ、また、epoch、span、indexの範囲について、ユークリッド空間上の準安定過程の場合との相違点を明らかにした。特に、局所体上には安定過程は存在せず、また、ユークリッド空間の場合には2以下であるindexの範囲は、局所体の場合には正の実数全体である。 次に、推移確率がHaar測度に対して絶対連続であること、過程が再帰的になるのはindexが1以上であるときであり、1点を確率1で訪問するのはindexが1より大きいときであることを証明した。 時刻tを固定したときの準安定過程の推移確率P(t)が独立同分布確率変数列の和の極限分布として特徴づけられることは、これまでの他の研究者の仕事によっても知られている。準安定過程がpathの空間、すなわち非負実数から局所体への右連続で左極限をもつ関数の空間に定める確率測度が、独立同分布確率変数列の和で定義される確率過程の与える測度の弱収束極限として特徴づけられることを新たに証明した。 これらの結果は、従来、回転で不変な準安定過程については求めることが可能である推移確率の密度関数や特性関数の具体形に頼っていた証明法を改め、これらの関数の具体形が得られない場合にもその特性を記述し利用することと、距離関数の非アルキメデス性を駆使することにより得られた。
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