研究概要 |
本研究では,境界制御・分布観測をともなう双曲型システムに対して,静的な出力フィードバックを施すことによって得られる閉ループ系の安定性解析を行った.ここで扱った双曲型システムは,単管熱交換器のモデルとなるシステムである.本研究代表者は,既に出力フィードバックをともなう単管熱交換方程式を取り上げている.そこでは,出口での温度を定数倍してからアクチュエータの空間的分布を表す関数を通して管全体に入力を加えるフィードバック系に対し,spectrum determined growth assumptionに関するHuangの結果(1985年)を用いて安定性を解析している.ただし,フィードバックゲインと強連続半群のgrowth boundとの関係についての考察が不十分であった. 一方,向流型熱交換方程式については,Xuら(1993年)は入口での温度をゼロとしたシステムを,そして国松・佐野(1998年)は境界フィードバックを施したシステムを扱っているが,ともにスペクトルの分布を解析し,Huangの結果を適用して指数位安定性を示している。 本研究では,はじめに双曲型境界制御系を記述する作用素の随伴作用素が,任意のフィードバックゲインに対して強連続半群を生成することを証明し,つぎにHuangの結果を用いることによって,その強連続半群がspectrum determined growth assumptionを満足することを示した.さらに,フィードバックゲインと強連続半群のgrowth boundとの関係について検討し,もとの双曲型境界制御系が指数位安定になるための条件を導出した.最後に,関連する他の境界制御系についても同様の手法を用いて安定性解析を行った.
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