1.符号の重み多項式からジーゲルモジュラ形式への写像(Broue-Enguehard写像)と、ジーゲルモジュラ形式から古典的不変式環への写像(井草の準同型写像)を合成することにより、有限群の不変式環から(無限群である)2次特殊線型群の不変式環(古典的不変式環)への写像が得られる。種数が1と2の場合にこの写像を具体的に書き下した。種数1の場合は、2変数多項式環から3変数多項式環への写像、種数2の場合は4変数多項式環から5変数多項式環への写像となる。この写像は変数が増えるかわりに多項式としての次数が減る。 2.符号の重み多項式は有限群の不変式と密接な関係がある。重み多項式を個々に考えるのではなく、それらが生成する環(重み多項式環)を考えると有限群の不変式環と一致する場合が知られている。ところで、一般に有限群の不変式環は有限生成な環であり、またコーエン-マコーレーという性質をもつ。私は以前、ある種の重み多項式の生成する環を考え、コーエン-マコーレーではない次数付き環を与えたが、符号から得られる環で有限生成ではないものを与えた。 3.特に符号理論やモジュラ形式の理論にこだわらずに、不変式環に対する研究も行ってきた。最近、興味をもって取り組んでいるのは、様々な有限群に対して、その不変式体を具体的に決定することである。特にその体が有理函数体となるか否か(有理性の問題)、に興味がある。ここでは基礎体を有理数体や代数体として考える。陸名雄一氏(東京都立大)との共同研究。
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