暗号に代表されるセキュリティシステムの高速化、安全化の実現を目指した研究を行い、数学的に安全性を裏付けられたセキュリティシステムを、労力をかけずに利用できるように、利用しすいアルゴリズムを提供することを目指している。 本年度の主な研究成果として、a:乱数の導入による暗号強化(特許出願、暗号通信システム)、b:電子署名の強化(特許出願、電子署名方法、電子署名処理プログラム及び記憶媒体)、c:パスワード入力装置の強化(特許出願、パスワード入力処理方法、パスワード入力処理装置、パスワード入力処理プログラム及び記憶媒体)、があげられる。 機密性の高い電子データは暗号化して保存、送信されているが、データを改ざんされたり一部がなくなったりしても、気づかずに正しいデータとして使ってしまうという問題があった。また、攻撃する人物が、任意の文書を暗号化させられる状況では、解読に用いるデータを採取され、鍵の全数検索よりも簡単に暗号が破られるという問題もある。これらの問題を解決するために、ブロックサイファーで暗号化する時は、各ブロックの一部に数列を加えてから変換し、復号後に数列部分が正しく復元されていることを確認してから切り捨てて元の文書を得るアルゴリズムを開発した(特許出願、暗号通信システム)。これにより、データが改ざんされていないことを確認でき、安心してデータを利用できるようになる。また、データの順序がわからなくなったときも数列部分の順序を用いて元に戻すことができる。更に、数列を加えることにより、同一の平文が、送る毎に異なる暗号化文に変換される。これにより差分攻撃法などの特定の平文を暗号化さることによる暗号攻撃法を無力化することができる。
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