当初の計画に基づいて、本年度は符号とマトロイド等の他の組合せ論の分野との関連性について研究を行った。具体的には、以下の通りである。 1.一般化ハミング重みに関する一般化シングレトン限界式の等号を満たす符号として一般化MDS符号がある。本研究においては、その符号をマトロイド理論を用いて構成する手法を提案し、様々な具体例の計算を行った。具体的研究手法としては、行列から作られる一般化pavingマトロイドの双対性を利用して、対応する符号のパリティ検査行列と生成行列との関係から構成法及び一般化ハミング重みの分布の考察を行った。また、一般化MDS符号の重み多項式とそのパリティ検査行列から構成される一般化pavingマトロイドのTutte多項式の関係からその符号の符号長に関する限界式を証明した。これらのすべての結果は、既に知られているMDS符号の結果を一般化しているものであることも同時に証明できた。 2.符号理論において最も有用な恒等式の一つとして線形符号とその双対符号のハミング重み多項式に関するマックウィリアムズ恒等式がある。一方で、マトロイド理論は、符号理論と密接な関係にあるにもかかわらず、その多くの理論はグラフ理論の概念をマトロイドに拡張したものである。そこで、本研究ではマックウィリアムズ恒等式をマトロイド理論へ拡張したものがえられないかと考えた。新たな特性多項式を導入し、双対マトロイドとの関係を恒等式で表現した。また、それは符号のマックウィリアムズ恒等式を一般化したものであることが証明できた。
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