研究概要 |
今年度は研究計画にしたがって、与えられた密性条件を満たす閉集合が満たす、ポテンシャル論的・解析的な性質について研究を行った。中でも特筆すべき研究成果としては、これらの定式化がユークリッド空間だけではなく、より一般に完備距離空間においても可能であり、結果もその枠組みで述べられるということが挙げられる。特に、一様完全集合が正のハウスドルフ次元を持つことが、一般の距離空間において示されたことは、我々の方法の普遍性を示す証左の一つと考えられる。また、一様完全性を緩めて、内半径が外半径のα乗(ただしα>1)に比例する円環と必ず交わるような密性条件を満たす集合を考えた場合、その対数容量が正になるかどうかが、α=2のところで正確に分かれることが証明できた。このような一種の分岐現象が起こることは想定外であり、非常に興味深いことである。 以上の研究以外にも、双曲的に凸な領域の双曲計量による特徴付け(Seong-A Kim氏との共同研究)、ある種の非線形積分作用素と単葉関数論との関連について(Ponnusamy, Y.C.Kim氏らとの共同研究)、Fedete-Szego問題についての新しいアプローチ(J.H.Choi, Y.C.Kim氏らとの共同研究)などを行った。
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