研究概要 |
今年度は,まず5月に以前からの共同研究者であるV.Gutlyanskii氏をウクライナから招聘し,約1ヶ月にわたって,主に退化ベルトラミ方程式や,領域の発展を記述する微分方程式であるレヴナー方程式に関する研究を行い,非常に興味深い結果をいくつか得た.これらについては現在も研究が進行中であり,完成にはまだ多少の時間がかかると思われる. 一様完全集合に関しても,R.Stankewitz氏とメールによる議論などを通して研究を進め,特にルベーグ測度が正であるような集合が必ず一様完全集合を含むか,という問題について深く考察した. さらに,その後のY.C.Kim氏,Ponnusamy氏らとの共同研究により,領域が単位円板からどの程度離れているかを計〓指標である等角写像の前シュワルツ微分の双曲ノルムについて非常に詳しい研究を行った.現在は一部を成果としてまとめ,論文として投稿中である.また,Jia Kim氏とは,シュワルツ微分の増大度条件から元の函数が受ける制約について研究を行い,それも論文として投稿中である. また,双曲平面内における領域が双曲的凸であるための必要十分条件がどのようなものかをSeong-A Kim氏と共同で研究し,また広島大学や山口大学における何度ものセミナーにおける議論により,その理解がさらに深まった.それに関する研究の成果は現在論文として投稿中であるが,ある重要な予想を巡って現在もなお研究が進行している.
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