• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

有限型超越整函数の力学系

研究課題

研究課題/領域番号 14740101
研究機関京都大学

研究代表者

木坂 正史  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (70244671)

キーワード超越整函数 / 有限型 / 構造有限
研究概要

本研究は「有限型超越整函数」と呼ばれる、特異値の集合が有限集合になるような函数について,そのジュリア集合上の力学系的性質を考察するものである.具体的にはまず第1に,fの反復によって∞に行くような軌道の集合がどのような構造を持っているかを明らかにすることを目標にし,更に具体的には,指数函数族λe^zの場合に既に知られている結果を参考にしながら,相空間上の適当な分割を定義し,それによってitineraryを定義することを試みた.その後,「どのようなitineraryが実際に実現されるか?」という問題を考察した.結果的にはまず,有限型超越整函数のサブクラスである構造有限超越整函数に対して,s___=(s_0,s_1,…)が実現されるitineraryであるとすると「h_<s___>(t)(t>^∃t_*)という曲線が存在して,h_<s___>(t)上の任意の点は同じitinerary s___を共有し,かつ,h_<s___>(t)上の任意の点はfの反復によって∞に行く」という結果のある不完全な部分を埋め,結果を多少改善することができた.また一般の有限型超越整函数fに対しては,fがasymptotic valueをもち,更にそのasymptotic pathのfによる可算無限個の逆像が同様のasymptoticをもつ,という仮定の下ではitineraryが定義できることが示せたが,意味のあるitineraryを無条件に定義することは残念ながらできなかった.これは「有限型である」というだけですでに相当広いクラスであり,これらを無条件に同一に扱うことが難しいことを示しているように思われる.一方でサブクラスである構造有限超越整函数は谷口の表現定理により,積分を使った具体的表現が可能であるので統一的に扱うことが可能である.来年度は当初の計画ではh_<s___>(t)が定義されたとして,次に「この曲線をfの逆函数の分枝を用いて可能な限り引き戻したときに、それが1点に収束するかどうか?」という問題についての研究を行なう予定であったが,すでに構造有限超越整函数のクラスについてはfの特異値の挙動に関してある条件を設定すると,この場合には1点に収束するということがほぼ示せている(詳細を詰める作業が若干残っている).これらの成果は2002年8月に北京で開催された国際数学者会議(ICM2002)をはじめ,いくつかの研究集会で報告を行った.論文での発表は成果がまとまってからにしたいので,今年度は見送った.

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi