本研究では、自然現象を記述する非線形偏微分方程式の解析を行った。特に、物理学における波動現象を記述する非線形波動方程式に関する研究とプラズマ現象を記述するブラソフ方程式に関する研究を中心に行った。 期間内では、全空間における線形の摩擦波動方程式の解のL^1ノルムに関する評価式とその導関数のL^1ノルムに関する減衰評価式を与えることに成功し、海外の有力な雑誌に論文が掲載されることとなった。 また、外部領域での線形の摩擦波動方程式の解のL^2ノルムとL^1ノルムに関する評価式の導出にも成功し、これを利用することで、3次元までの半線形項を持つ摩擦波動方程式の時間に関する大域解の存在定理を証明することができた。これはFujita臨界指数に関する重要な結果である。この結果に関しても海外の有力な雑誌に論文が掲載されることとなった。 本研究で行った研究成果を論文としてまとめただけではなく、日本数学会における一般講演をはじめとする研究発表を行った。 今回得られた研究結果をさらに発展するために現在も研究を続けている。この補助金の継続期間内にはさらなる研究成果が期待できると考えている。
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