研究概要 |
1年目の今年度は主に研究課題に関する情報収集、習熟に多くの時間を費やした。具体的には、エルゴード理論と離散群論にまたがるここ1,2年に大きく進歩した話題の作用素環論でのアナロジーの追求に関する研究である。まだ決定的な結果を得るには至っていないが、そこで修得した話題の一部分の解説を9月に京都大学数理解析研究所で行われた研究会で解説した。 一方、以前から行っていたカルタン部分環上の融合積の自己同形に関するその後に得た成果をUCLAでの研究集会に於いて口頭発表した。一方、以前からの研究のもう一つの柱である自由積型自己同形作用に関する研究で、量子群SU_q(2)の自由積型作用に付随して生じる部分因子環を一般的な状況で解析し、以前に行った研究で取り扱わなかった部分を明かにした。これは、論文[Y.Ueda, Free product actions and their applications, preprint]の中にまとめて詳しく書いた。 年度末になって、離散群論のある基本的な構成法のフォンノイマン環論に於ける対応物を具体的に与えることに成功し、その基本的性質をいくつかを解明するのに成功した。まだ出来上がったばかりの結果であるためまだ発表は行っていないが、来年度の早い時期の研究集会に於いて発表する予定である。この新しい構成法に関する研究は研究課題に間接的に関係してるものであり、実際、そのような試みの中から実行されたものである。
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