研究概要 |
リエナール型微分方程式系のlimit cycleの個数を評価することは,ヒルベルトの23問題の中にあるように大切な課題である.これを解決するためには,系が渦心点をもつための条件を調べることが必要不可欠である。 この目的に当たって昨年度は,一般化されたリエナール系が局所渦心点をもつための必要十分条件を与えた.それは簡単に言えば,減衰項または外力項を表す関数が奇関数になることが渦心点であるための条件であった. 本年度は,それを更に一般化した系である,2階微分方程式に応用することを試みた.具体的には,減衰項をxのm次多項式とx^^・のn次多項式の積で表した場合を考えた.外力項はxの1次の項を含む多項式である.これは,微分方程式系に変換したとき,一般の多項式系に(昨年度の系と比較しても)非常に近づいた型である.前年度の手法を適用することにより,もし系が局所渦心点をもつ(つまり第一積分をもつ)ならば,各項の次数であるmとnにはある関係が成り立つことが解明できた.つまり,系が局所渦心点をもつための必要条件が得られたわけである. 残念ながら,十分条件はこれまでの手法を適用することができないために得られなかった.なぜならば,一般の多項式系を考えているために,解軌道がy軸に対して鏡対称となる性質が欠けてしまうからである.これに対しては,これまでに知られている結果とよく照らし合わせながら検討していく必要がある.これを今後の課題の一つとしたい.
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