研究概要 |
平成15年度の研究実施計画に基づき,多変数合流型超幾何微分方程式の級数解についての研究およびτ関数によるガルニエ系の定義空間の構成の研究をまず行った. それに伴い,退化ガルニエ系の定義空間についての研究や退化ガルニエ系の定義空間に付随するディンキン図形の研究についても同時に展開できる部分があり,少しずつでしかないが解明出来ることがあった.ガルニエ系の定義空間の退化図式の研究については,まずすべての退化ガルニエ系の定義空間をうまく記述する必要があり難航している.ただ非常に煩雑なそれらの計算を通して分かったことであるが,2変数などでの具体的な計算がある一面わかりにくいのは,具体的過ぎるから対称性がよく見えないというのが原因であったとの結論に現在至っている. また補足としてパンルヴェ全集を閲覧し,全集に含まれているストックホルム講究録の読解にも昨年度に引き続き努めた.フランス語の古典的な講究録であるが,現在でも研究し尽くされていないパンルヴェ自身の初期のアイデアが少なからず含まれており,昨年度の序文,第1講,第2講に続いて第5講の内容について詳細に研究した. 級数解については形式的な理論にとどまっているので,今後多変数に拡張するにしたがって,解析的な内容をどう考えていくのかも合わせて考えなければならない必要性を感じている.
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