宇宙からやってくる10〜数百keVの軟γ線には、超新星爆発からのラインγ練が現れ、宇宙の重元素生成のメカニズムを探る上で重要な鍵を示してくれる。本研究では第2世代CdTeダイオードのγ線に対する優れた分光能力と、井戸型のアクティブシールドによる高度なバックグラウンド除去技術という、私の関わる2つの先端技術を組み合わせて、特にラインγ線に対してこれまでにない高い感度を持つ検出器の実現を目指す。 本研究では、上記のような検出器を、軽量、低消費電力という枠内で、実際に製作、試験する。最終的には、大気球のゴンドラ三こ搭載することを目指しており、高度40km以上での実際の宇宙観測まで行ないたいと考えている。 2002年度は、新しいCdTeダイオードを購入、試験し、ガードリング電極の採用によって、常温で安定して高性能を発揮することを実証した。本研究にとっては、この成果によって、気球ゴンドラの熱設計の負担が大幅に軽減された。この基礎結果の始めの一部は、すでに国際学会で発表し、論文にまとめ、すでにアクセプトされている。また、実験に必要な軽量、低消費電力の高圧電源も購入し、データ処理系の立ち上げも行なっている。
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