研究概要 |
惑星系形成の標準シナリオでは固体惑星は微惑星の集積により形成される。大規模N体シミュレーションによって、様々な微惑星円盤からの原始(固体)惑星系の形成について調べ、その結果を基に惑星系の可能な多様性について議論した。微惑星円盤の初期質量分布をΣ=Σ_1(α/1AU)^<-α>gcm^<-2>として与え(αは中心星からの距離)、様々な質量分布(Σ_1=1-100,α=1/2-5/2)の円盤からの惑星集積を考えた(太陽系形成のための標準円盤モデルはΣ_1【similar or equal】10,α=3/2)。原始惑星の寡占的成長モデルから、原始惑星の孤立(最終)質量と形成時間がどのように微惑星円盤の初期質量分布に依存するかを導き、シミュレーションによって確かめた。軌道間隔が原始惑星のヒル(ロッシュ)半径に比例するとすると、原始惑星の孤立質量はM_<iso>∝Σ^<3/2>_1a^<(3/2)(2-α)>となる。すなわち、孤立質量はΣ_1とともに増加し、α<2のときαとともに増加し、α>2のときは減少する。また、形成時間は考えている範囲ではいつでもαとともに増加し、Σ_1とともに減少する。 この原始惑星の寡占的成長モデルにガス捕獲による木星型(巨大ガス)惑星形成を組合せることによって、最終的な惑星系の構造を考えることができる。木星型惑星は固体コア(原始惑星)の形成時間と固体コアへのガス円盤からのガスの降着時間が、ガス円盤の寿命より短い場所でのみ形成可能である。標準的な半径分布(α=3/2)の場合は、質量の大きな(Σ_1【greater than or similar】30)円盤からは、複数の木星型惑星が形成され、その外側には天王星型(巨大氷)惑星が形成される。質量の小さな(Σ_1【less than or similar】3)円盤からは木星型惑星は形成されず、内側に地球型惑星、外側に天王星型惑星が形成される。中間的な質量(Σ_1【similar or equal】10)の円盤からは、太陽系のような、すなわち内側から地球型、木星型、天王星型惑星と並ぶような惑星系が形成される。これらの成果はThe Astrophysical Journalに発表した。
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