研究概要 |
本年度に行った研究内容は次の通りである。 (1)前年度に購入したSi検出器の基本的性能(エネルギー分解能、時間分解能)の測定を行った。東北大学工学部ダイナミトロン施設を用いて検出器固有の分解能を調べた。 (2)(1)にて時間分解能について十分な結果が得られなかったため,後段読み出し部分に多チャンネル対応のプリアンプMPR-32の導入を検討、設計を行ったのち購入した。この回路を用いたテスト実験をダイナミトロン施設を用いて行った。この結果多チャンネル読み出しを行うことにより角度の測定が大部分において可能であることがわかった。 (3)逆運動学からの反跳粒子測定のテスト実験を理化学研究所リングサイクロトロン施設を用いて行った。テスト実験は2度行った。測定は、研究代表者が作成した反跳陽子磁気スペクトロメータを2次ビーム生成装置RIPSの最下流に設置することにより行われた。(1)の結果を踏まえた1度目の実験においては、1次ビーム^<40>Arを、(2)の結果を踏まえた2度目の実験においては、2次粒子^<38>Sをビームとして用いた。本実験で除去すべきバックグラウンド低減のための手法を確立するに至った。2ビームを用いた反跳陽子の測定は統計がいまだ十分でない。よって、残念ながら最終目的である不安定原子核におけるE0巨大共鳴(ISGMR)の同定に関しては確定的な言及には至っていない。
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