本研究はスーパーカミオカンデにおいて、太陽ニュートリノを精密に測定し振動解を特定することである。二年目にあたる本年度では、スーパーカミオカンデ検出器のセカンドフェーズのデータ取得が開始された。太陽ニュートリノ振動解の特定において特に重要になるのはエネルギーとフラックスの昼夜変動の精密測定であるが、精度よくそれらを測定するには、検出器較正が重要であり、特に、全ての光電子増倍管の増幅率が数%のレベルで一定であること、また各光電子増倍管はそれぞれ量子効率が異なっているが、それを精度良く把握する心要がある。その目的のために、ゼノン光源による光電子増倍管の増幅率の測定、ガンマ線源による光電子増倍管の量子効率の精密測定を行なった。ゼノン光源は等方向に1%以内に一様に光を放射する。またガンマ線源としては、ニッケルに中性子を吸わせて出てくる約9MeVエネルギーのガンマを使用した。これは太陽ニュートリノ事象による電子事象とほぼ同様のエネルギーである。測定方法は、それぞれの光源、線源をスーパーカミオカンデ検出器の中に投入し、通常のデータ取得と同様にデータの取得を行なった。ここで光源、線源自身が持つ系統誤差を抑えるために、上下、左右の向きを変えて測定を行なった。この結果、増幅率においては5%以内の精度で合っていることが確認された。また、各光電子増倍管の量子効率を求め、これをシミュレーションプログラムに適用した。それにより、量子効率の違いの不定性も5%以内であることが確認された。
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