全天X線モニターMAXIは、2006/07年度に国際宇宙ステーションに搭載される予定である。本研究ではMAXIフライトモデルの試験を円滑に行うため、地上試験システムの開発を行った。申請時の予定では、擬似アナログ部を先に試験する計画であったが、プロジェクトのスケジュールに若干の変更があり、MAX1センサーおよびアナログ処理部の納品が先行した。これに伴い、平成15年度に開発予定であった擬似デジタル部の機能が必要となり、先に設計を行った。ハードウェアとしてはデータ処理ボードを予定通り10枚設計・開発し、これを汎用の家庭用パソコン(CPU速度1GHz、メモリ512Mbyte程度)に接続してデータ取得する仕様とした。従来の計測システムに比べ、1/10以下のコストで汎用性の高い物理計測システムを構築することに成功した。LSIは電気消去可能な新しいFPGAを使用し、開発に要する手間と時間を大幅に削減した。現在、本システムは理化学研究所に定常的に設置されており、GSCと呼ばれるMAXIフライトセンサー(ガス比例計数管)の詳細試験に使用されている。ソフトウェアとしては、本システムで得たデータをVMEバス経由でパソコン上に表示し、リアルタイムでヒストグラムとして表示する「Quick Look機能」の開発を行った。これにより、センサーやエレクトロニクスが誤動作した場合、即時に原因を究明できるほか、誤動作の確率までをも調べることができる。本年度の実績の概要は、2003年度の春の天文学会、物理学会で口頭発表するほか、7月に米国サンディエゴで開催される国際検出器会議(SPIE)で口頭発表を行う。申請時の予定よりもはやく開発が進んでいるため、現在擬似アナログ処理系の構築にも着手している。MAXIのデジタル処理部は3月末に納品されるため、4月以降の実機接続を目指した開発を進めている。
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