研究概要 |
全天X線モニター(MAXI)は、2008年度に国際宇宙ステーション(ISS)日本モジュールに搭載される予定のX線検出器であり、現在試作モデルとフライト検出器の製作が行われている。本年は、MAXIプロジェクトの存続を決める上で最も重要な年で、CDR (Critical Design Review)をはじめとして搭載システムの詳細な検討が行われた。特にデジタルプロセッサー部分については、Release-2と呼ばれる試作モデルの性能評価を行ったが、地上試験でも機上と全く同じアナログ処理部を再現する必要があり、本研究で開発した「地上試験システム」が用いられた。昨年度は、同じシステムを全く逆の用途、つまり、アナログ処理部の詳細試験を行うための"擬似デジタルプロセッサー"として用いたが、本年度の試験を通じて申請の目的をすべて達成したことになる。ハードウェアとしては、昨年度製作したVME処理ボードを用いて、家庭用パソコン(CPU1GHz、メモリ512Mbyte)に接続して試験を行った。FPGAのプログラミングも全て終了し、本システムは現在、理化学研究所(宇宙放射線研究室)およびJAXA(宇宙環境計測システム)に常備され、様々な試験に役立てている。昨年度の実績とあわせ、本年度の開発の概要、開発したシステムについては8月の国際学会(SPIE)で口頭発表を行った。結果はSPIE学術誌2003,vol5165,375-386にkataoka et al.として掲載されている。発表においては多くの質問や活発な議論が行われ、改めてこの分野に対する研究者め関心の高さを実感した。
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