余次元理論と超対称性標準模型におけるレプトンの世代構造の現象論的研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14740164
• 研究機関: 三重大学
• 研究代表者: 波場 直之 三重大学, 工学部, 助手 (00293803)
• キーワード: 余次元理論 / 超対称性理論 / fermionの世代構造 / ニュートリノ / 大統一理論 / CPの流れ / 3-2表現分離問題 / レプトン・フレーバーの破れ

研究概要

(1).超対称性のある余次元理論を用いて、クォークとレプトンの世代間混合・質量階層性を自然に説明する機構や模型の構築に成功した。具体的には、5、6次元目の座標がT_2/Z_2 orbifoldでコンパクト化された6次元SO(10)大統一理論において、第5第6世代のvector-like場が5次元6次元に広がりその波動関数のvolume suppressionが本質的な役割をして10表現に階層性が導出される機構を考案した。
(2).余次元大統一理論・余次元標準模型に関する研究については、fat brane scenarioの枠組みで、3種類のSUSY breaking解(縮退解、decoupling解、alignment解)が、SUSY breaking braneの5次元座標の位置によって自動的に導出され、統一的に理解できることを示した。
(3).effective SUSYを余次元標準模型から導出する新しいメカニズムを考案した。
(4).3-2表現分離問題の新しい解決法として、triplet-Higgsとdoublet-Higgsが余次元空間の離れた場所にdynamical effectで局在し、その時、triplet-HiggsがTeVスケールでも陽子崩壊実験とは矛盾しない模型の提唱をした。
(5).レプトン・フレーバーの破れの研究を行った。具体的には、effective SUSY理論において、τ→μγ等LFVの実験的制限をクリアーし、かつ、レプトンの世代間混合相互作用が、μ-ong-2の標準模型からの有意なずれを導出する可能性について調べ、パラメータ領域を解析した。
(6).ニュートリノの質量・世代構造に関する研究を行った。具体的にはニュートリノ・レス・ダブルβ崩壊実験データが予言するニュートリノ質量階層構造をMajorana CP位相を含めて解析した。

研究成果

• [文献書誌] N.Haba, N.Maru: "(S)fermion Masses in Fat Brane Scenario"Physics Rev.iew D. 66. 055005-1-055005-9 (2002)
• [文献書誌] N.Haba, N.Maru: "Decoupling Solution to SUSY Flavor Problem via Extra Dimensions"Moddern Physics Letter A. 17. 2341-2348 (2002)
• [文献書誌] N.Haba, T.Kondo, Y.Shimizu: "Fermion Mass Hierarchy in 6 dimensional SO(10) SUSY GUT"Physics Letter B. 535. 271-279 (2002)
• [文献書誌] N.Haba, T.Suzuki: "The neutrinoless double β decay and the neutrino mass hierarchy"Moddern Physics Letter A. 17. 865-874 (2002)
• [文献書誌] N.Haba, N.Maru: "Light Higgs Triplets in Extra Dimensions"Physics Letter B. 532. 93-98 (2002)
• [文献書誌] G-C.Cho, N.Haba, J.Hisano: "The stau exchange contribution to muon g-2 in the decoupling solution"Physics Letter B. 529. 117-123 (2002)