研究概要 |
KEKにおけるJ-PARCプロジェクトを視野に入れたストレンジネス核物理の最優先課題の一つはダブルラムダハイパー核の生成である。2000年に初めてダブルラムダハイパー核、^6_<ΛΛ>Heが不定性なく束縛状態として発見された。この発見は、皆無に等しいYY相互作用の情報に新しい光を投げかけるものである。また、上記のように、現在、ダブルラムダハイパー核生成の計画が進行中である。従って、実験に先駆けた発見されるであろうダブルラムダハイパー核のエネルギー準位の理論的予言が最重要課題である。報告者は、まず^6_<ΛΛ>Heをα+Λ+Λの3体問題に基づいて、構造研究を行い、ΛΛの望ましい強さを現象論的に決めた。そして、未発見のダブルラムダハイパー核、(i)^7_<ΛΛ>Heをα+N+2Λ,(ii)^9_<ΛΛ>Li, ^9_<ΛΛ>Beをα+3^H(3^He)+2Λ, (iii)^10_<ΛΛ>Beを2α+2Λの4体計算に基づいた構造計算を行い、実験に先駆けた準位構造の予言を行なった。ここで、KEK-E373実験で発見された^10_<ΛΛ>Be(デマチヤナギイベント)が励起状態の発見であることを指摘した。ここで用いたΛΛ相互作用は、ΛΛチャネルのみの相互作用である。次年度は、ΛΛ-≡N-ΣΣ結合を含む現実的YY相互作用を用いて、ΛΛ-≡N-ΣΣ結合メカニズムの解明を行なう。今年度の研究成果をPhysical Review Cに掲載した。また、この研究成果を2002年8月に上海で行なわれた「第2回アジア・パシフィック少数系物理国際会議」、及び2002年9月にスロベニアで行なわれた「第18回ヨーロッパ少数系物理国際会議」で招待講演者として発表した。
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