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2003 年度 実績報告書

金属表面吸着子に対する非弾性トンネル分光の基礎理論

研究課題

研究課題/領域番号 14740189
研究機関富山大学

研究代表者

三井 隆志  富山大学, 工学部, 助手 (70303211)

キーワード非弾性トンネル分光 / 走査型トンネル分光 / 振動分光 / 金属表面吸着子 / 電子正孔対励起 / 振動緩和時間 / 非統計力学 / Anderson 模型
研究概要

金属表面に吸着した単一吸着子を介した非弾性トンネル電子分光(STM-IETS)の理論を展開した。金属基板、吸着子、吸着子上の振動モード、STMチップからなる系を考え、吸着子の振動励起を介した非弾性および弾性トンネル過程を、解析的および数値的にしらべた。これは、振動系を組み入れたAnderson模型として扱える。基板とSTMチップとの間のバイアス電圧は二つの系のケミカルポテンシャルの差としてあらわされるため、非平衡電子分布を扱わなければならない。この困難を克服するために、非平衡Green関数法を用いて解析した。また、モデルの一般性から、振動系とカップルした局在電子系を介した電気伝導の解析にも使えることに着目し、最近の実際の実験結果(N.Agrait, C.Untiedt, G.Rubio -Bollinger, and S.Vieira, Phys.Rev.Lett.88,216803(2002),R.H.M.Smit, Y.Noat, C.Untiedt, N.D.Lang.M.C.van Hemert, and J.M.van Ruitenbeek, Nature(London) 419 906(2002))と比較検討した。
数値計算を用いることによって、実験で観測されるべきSTM-IETSスペクトルが、トンネル電子が経由する電子状態によって様々な形状を取ることを示した。この数値計算の結果は、通常のW.HoらのSTM-IETSの実験とも定性的に一致することを確認した。また、前に述べたような、二つの電極にはさまれた分子・原子チェーンを介した電気伝導の振動モードに関する影響に対しても定性的一致を見た。
これらの結果は、表面科学会誌の招待論文として、またPhysical Review Bに掲載され公表され、高い評価を得ている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 三井 隆志, 上羽 弘: "走査トンネル顕微鏡を用いた単一吸着分子の非弾性トンネル分光理論"表面科学会誌(招待論文). Vol.24 No.5. 268 (2003)

  • [文献書誌] Takashi Mii, Sergei G.Tikhodeev, Hiromu Ueba: "Spectral features of inelastic electron transport via a localized state"Physical Review B. 68. 205406 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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