数オクターブにわたる遠赤外光領域の光スペクトルをマルチチャンネルで効率よく検出する手法の開発を行いその分光への応用の可能性を評価した。発生したTHz光を110面に切り出したZnTe結晶に照射しその電場で生じた電気光学効果の大きさをサンプリングパルスの偏光のゆがみとして検出する方法を用いる。ここでサンプリングパルスを回折格子対でチャープをさせて検出結晶に入射させ、それぞれの偏光成分を分光器とCCDカメラで検出させる。このように時間波形をサンプリングパルスの周波数軸上の情報に置き換えることでマルチチャンネル検出を可能とする。このような分光手法が実現可能かを評価するためにまずTHz電場の電気光学効果による信号強度がCCDカメラで検出可能な大きさかどうかを評価した。1kHzの増幅したチタンサファイヤレーザーからのパルスを用いて光整流で発生させたTHz電磁波をゼロチャープのサンプリングパルスを用いて測定した結果、信号強度はΔI/I_0〜0.1程度となることを確認した。この信号強度は提案した検出法が可能であることを表しており、物質の不可逆変化を分光で検出したりポンププローブ分光法などへの応用が可能であることを示している。そしてサンプリングパルスの帯域、パルス幅、チャープ、非線形結晶の条件などどのような条件を満たせば分光学に応用できるか、その最適な条件を評価した。
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