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2002 年度 実績報告書

銅酸化物超伝導体の超伝導-絶縁体転移近傍における電荷・スピンの長距離秩序の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14740197
研究機関東北大学

研究代表者

足立 匡  東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40333843)

キーワード銅酸化物超伝導体 / La_<2-x>Ba_xCuO_4 / 1 / 8異常 / ストライプ秩序 / 高品質大型単結晶 / 輸送特性 / 磁気特性
研究概要

・La_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4(x〜0.115)におけるスピンゆらぎと超伝導の相関
ミュオンスピン緩和(μSR)と磁化率の測定から、Cuスピンゆらぎと超伝導に対する非磁性不純物置換の効果を調べた。μSRの結果より、Znを少量置換することで磁気秩序が発達すること、また大量のZn置換で磁気秩序が破壊されることを見出した。一方、磁気秩序と超伝導の体積分率を見積もって比較した結果、CuスピンのゆらぎがμSRの時間窓よりも速い領域と超伝導領域が対応することを見出した。これらの結果から、動的なスピンゆらぎ(ストライプゆらぎ)がZnの周りでピン止めされて安定化し、その領域で超伝導が抑制されるというモデルに帰結した。
・La_<2-x>Ba_xCuO_4(x〜1/8)単結晶の育成と輸送特性
以前、高品質単結晶の育成に成功したLa_<2-x>Ba_xCuO_4(x≦0.11)を用いて、1/8異常の原因と関連が指摘されている静的ストライプ秩序の輸送特性を調べるために、様々な磁場中でホール係数と電気抵抗率を測定した。その結果、ストライプ秩序が安定化しているx=0.11では、低温でホール係数の符号反転が観測された。また、ストライプ秩序が不安定であるx=0.083ではそのような振る舞いは観測されなかった。一方、電気抵抗率の超伝導転移に関しては、x=0.083では高温超伝導に特有のブロードニングが観測されたが、x=0.11では超伝導コヒーレンス長が比較的長い場合に見られるパラレルシフトが観測された。これらの結果から、ストライプ秩序が安定化している状態で起こる超伝導は、コヒーレンス長の長い従来型的である可能性があると結論された。
・超伝導-絶縁体転移近傍La_<2-x>Ba_xCuO_4(0.02≦x≦0.07)単結晶の育成と電気的・磁気的性質
TSFZ方により、超伝導-絶縁体転移近傍のLa_<2-x>Ba_xCuO_4(0.02≦x≦0.07)の高品質単結晶の育成に成功した。電気低抗率の測定から、ab面内方向とc軸方向の抵抗率の異方性が、xの増加とともに上昇し、超伝導-絶縁体転移近傍のx〜0.05を境に減少に転じることがわかった。すなわら、超伝導が出現する領域では抵抗率の異方性が低く抑えられていることがわかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] I.Watanabe, T.Adachi, K.Takahashi, S.Yairi, Y.Koike, K.Nagamine: "Muon-spin-relaxation study of the effect of nonmagnetic impurities on the Cu-spin fluctuations in La_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4 around x=0.115"Physical Review B. 65. 18516-1-18516-4 (2002)

  • [文献書誌] I.Watanabe, T.Adachi, K.Takahashi, S.Yairi, Y.Koike, K.Nagamine: "μ SR study of the Cu-spin dynamics in La_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63. 1093-1096 (2002)

  • [文献書誌] T.Adachi, T.Noji, Y.Koike: "Transport properties of the single-crystal La_<2-x>Ba_xCuO_4(0≦x≦0.11)"Journal of Physics and Chemistry of Solids. 63. 1097-1011 (2002)

  • [文献書誌] I.Watanabe, T.Adachi, S.Yairi, Y.Koike, K.Nagamine: "Dynamics of the stripes in La_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4 around x=0.115 studied by μSR"Physica B. 326. 305-311 (2003)

  • [文献書誌] T.Adachi, I.Watanabe, S.Yairi, K.Takahashi, Y.Koike, K.Nagamine: "Effects of non-magnetic impurities on Cu-spin dynamics and superconductivity in La_<2-x>Sr_xCu_<1-y>Zn_yO_4 around x=0.115"Journal of Low Temperature Physics. (in press).

  • [文献書誌] I.Watanabe, T.Adachi, S.Yairi, H.Mikuni, Y.Koike, K.Nagamine: "μ SR study on slowing-down behavior of the Cu-spin fluctuations at high temperatures in La_<2-x>Sr_xCuO_4"Journal of Low Temperature Physics. (in press).

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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