研究課題
粉体の準静的な変形過程で生じる断層と破壊の力学を非線形動力学の視点から研究した。昨年度までに乾燥粉体での変形実験、数値計算、微小変形過程での理論解析を行い、断層の初期成長過程で誘電破壊と類似の競合現象が現れること示したが、今年度はその研究を進めると共にこれまでの成果を発表した。論文は研究発表欄にまとめた通りであるが、この他に、国際会議STATPHYS22及びそのサテライトミーティングに参加し研究発表を行った。これに加えて、本年度は粉体間に水分が介在することで凝集力が働く場合の破壊現象について実験及び理論的な研究を2つ行った。第1は、大阪府大の水口氏らとともに以前から共同で行っている三次元的な乾燥破壊で現れる柱状節理構造に関する研究である。実験結果を中心に論文が出版される予定であるが、この現象は亀裂自身が水分を蒸発させて収縮をコントロールしながら成長するself-driven crackである可能性が高い。数理モデルを作るために粉体内の水分の時間発展方程式と、亀裂の進展条件を議論し、理論的考察を行った。第2は、準二次元的な乾燥破壊での亀裂の進展速度の実験的研究である。粉体の乾燥破壊では、通常の固体ではあり得ないような非常に遅い速度の亀裂成長が観察されており、粉体に特有な強いエネルギー散逸が亀裂の進展速度にどう反映するかは興味深い課題である。まだ予備的な研究であるが、温度湿度をモニターしながらの速度測定を学生と共に行い、亀裂速度の厚さ依存性などについて精度は不十分ながらも新しい結果を得た。これに関しては、条件の制御が難しいため交付期間終了後も引き続き研究を継続し、より本格的な実験に発展させる予定である。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
Granular Matter 5
ページ: 185-192
AIP Conference Proceedings : Slow dynamics in complex systems (edited by M.Tokuyama, AIP) 708
ページ: 154-155
Granular Matter 6
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Physical Review E (in press)(未定)