平成15年度は2次元のフォトニック結晶に焦点を当てて静止局在波の存在を追及したが、平成16年度は再び1次元のモデルを考えた。ただし、ポテンシャル効果を考慮に入れてギャップモードにおける動く局在波の散乱、およびとラッピングを数値シミュレーションの立場から研究した。ポテンシャルがδ関数的ならば、トラップされた局在波の存在はKivsharらによって理論的に予言されている。われわれは、非線形結合モード方程式をベースにギャップソリトン解をδ関数ポテンシャルに入射させた。 ポテンシャル強度(以下単に強度と呼ぶ)が十分正の値で大きいときは、いったんは完全反射波的にな挙動を示すが反射波は安定な局在波とはならず徐々に分散していった。強度の絶対値が小さいときは反射波透過波両方が出現するが、いずれも時間と共に局在性が失われた。これらの性質は非線形シュレディンガー(NLS)モデルとは大きく異なっている。 強度が負の値で十分大きいときは反射波があるものの、一部のエネルギーがポテンシャルにトラップされた形になっており局在波が観測された。モード解析を行ったら丁度ギャップ内に入っておりこれはKivsharらが発見したモードだと考えられる。 また1次元のフィボナッチフォトニック結晶に関する理論的研究も行った。これは以前から研究されていた量子1体問題に焼きなおすことが可能であり、代数学的(逆ベキ的)に減衰する孤立波の存在を予想した。
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