本研究では我々が開発した原子波多重干渉計を用いて、原子に外部磁場を印加し生じた原子波の位相シフトにより原子波の多重干渉を実現することを目的としている。 本年度の研究は次の3段階で行った。 1 原子波多重干渉計の構成 ナトリウム原子を磁気光学トラップし、原子の状態を揃えるために共鳴光を照射し初期化する。このとき、共鳴光を、購入した信号発振器によって変調する音響光学素子でパルス的に発生させ初期化の原子数を正確に把握した。この後、誘導ラマン光のパルス列を原子に照射し、多重原子干渉計を構成した。 2 パルス磁場列の発生 誘導ラマンパルス列の間の短い時間に矩形磁場を原子に印加し、異なる原子状態間の原子間に位相シフトを起こさせた。磁場強度、パルス幅を購入したコンピュータにより変化させた。 3 磁場による位相シフトの改善 原子波多重干渉計を用いて、磁場による位相シフトを測定した。この際、原子の位相は残留磁場の影響を受けやすいが、購入した3つの直流電源から3方向のヘルムホルツコイルに電流を流すことにより発生する空間的に均一な磁場を用いて残留磁場を消去した。その結果、磁場による位相シフトのコヒーレンス時間を改善することができた。また、残留磁場を消去することで冷却原子の温度を60マイクロケルビンにまで下げることができ、コヒーレンス時間を長くすることができた。 以上の研究成果をロシアで行われた国際量子エレクトロニクス会議(IQEC2002)で発表した。また、論文にまとめ、現在雑誌に投稿中である。
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