研究概要 |
本年度は地震発生時のエネルギー配分について弾性論に基づいた理論研究及びスケーリングについて実際の地震データを用いた解析研究を行った。理論研究では初めにこれまでにした予備的なエネルギー配分の研究結果をBSSA誌において出版した。さらに破壊エネルギーの空間分布を推定し、現在あまり考えられていない破壊進行中の破壊エネルギーのスケール依存性が実は重要であるという認識にいたった。一方で解析研究では2000年鳥取県西部地震の余震をメインに、震源スペクトルの地震サイズ依存性を詳細に調べた。特に防災科学技術研究所との共同研究で一般に公開されていない高サンプリング周波数のデータを用いて従来の研究と比較してより広い地震サイズについてスペクトル形状の変化を観察することに成功した。現在結果を出版準備中である。小さい地震を調べる際にマグニチュードの定義に疑問が生じたので地震研究所マグニチュードについて理論的に考察し、その意味を明確にした。この内容は地震研究所彙報において受理・印刷中である。またCalifornia, Long Valleyでの微小地震を用いた解析では観察される見かけの規格化エネルギーのサイズ依存性についてその原因を突き止めた。この結果はJournal of Geophysical Research誌で受理され印刷中である。現在さらに小規模の現象として南アフリカの金鉱山のデータを京都大学・立命館大学らとの共同研究で解析している。今年は基本的な解析ツールの整備を行った。またさらに小スケールの現象、室内実験についても花崗岩の摩擦すべりの予備的な実験を行った。
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