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2003 年度 実績報告書

大気・河川による淡水輸送に対する海洋熱塩循環の依存性とその気候変動への影響

研究課題

研究課題/領域番号 14740273
研究機関東京大学

研究代表者

羽角 博康  東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (40311641)

キーワード海洋熱塩循環 / 海面淡水フラックス / 北極海 / カナダ多島海
研究概要

北極海は河川流出水・北太平洋からの流入水・降水によって淡水を受け取っており、その淡水を大西洋深層循環の起点となる北大西洋高緯度に排出している。この淡水排出は大西洋深層循環を弱める働きを持つのであるが、同量の淡水排出に対しても、淡水(低塩分水)の具体的な通り道次第ではその大西洋深層循環にたいする影響が大きく異なることが示された。北極海からの淡水の排出経路としてはグリーンランド海につながるフラム海峡とラブラドル海につながるカナダ多島海が存在し、グリーンランド海・ラブラドル海はともに北大西洋深層水の形成領域にあたる。しかし、カナダ多島海を通り抜けた低塩分水はラブラドル海内に存在する低気圧性循環の外周をめぐる形となり、その循環の中央部で生じている深層水形成に直接の影響を及ぼさない。カナダ多島海を低塩分水が通り抜けることで、フラム海峡を通る低塩分水の量はその分減少するが、これが西グリーンランド海流の塩分上昇をもたらし、その先にあるラブラドル海中央部の塩分を高めることで深層水形成を活発化させる。すなわち、カナダ多島海を通しての北極海からの淡水排出の存在は、それがない場合に比べて、大西洋深層循環を強化する役割を持つことがわかった。従来、全球を扱う海洋大循環モデルの解像度ではカナダ多島海の水路は表現されないことが多かったのだが、現在の気候状態の再現や地球温暖化等の気候変動予測において、この要素を考慮に入れることは重要であると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Y.Komuro, H.Hasumi: "Effects of surface freshwater flux induced by sea ice transport on the global thermohaline circulation"Journal of Geophysical Research. 108(C2). No.3047 (2003)

  • [文献書誌] A.Oka, H.Hasumi: "Effects of freshwater forcing on the Atlantic deep circulation : A study with an OGCM forced by two different surface freshwater flux datasets"Journal of Climate. (In press). (2004)

  • [文献書誌] T.Ogura, A.Abe-Ouchi, H.Hasumi: "Effects of sea ice dynamics on the Antarctic sea ice distribution in a coupled ocean atmosphere model"Journal of Geophysical Research. (In press). (2004)

  • [文献書誌] H.Nakano, H.Hasumi: "A series of zonal jets embedded in the broad zonal flows in the Pacific obtained in eddy-permitting ocean general circulation models"Journal of Physical Oceanography. (In press). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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