1 観測手法の開発および新規観測 a)南北両極域に展開されているSuperDARNレーダーを利用した流星観測手法を改良し、オーバーサンプルと干渉計の使用を可能とした。これにより流星観測専用のレーダーに迫る流星風観測手法が確立した。 b)オーロラの影響の小さい波長589nmにおける大気光観測を南極点基地において継続し、良好な大気波動のデータを取得した。 2 中間圏界面領域の平均的な風速場・温度場の導出 2002年は南極において未曾有の成層圏突然大昇温現象が起きたが、昭和基地の風速・温度データから中間圏においてもその影響と見られるシグナルが捉えられており、その前後の年と較べると中間圏の振る舞いには明らかな差が見られた。突然昇温現象は、その成因に惑星波や重力波などの大気波動が主要な役割を果たすと考えられており、理論研究を行う研究者と共に解析を進めた。 3 大気波動パラメターの抽出 風速・温度データをもとに、特に大気潮汐波の解析を中心に進めた。冬場には8時間、6時間といった周期の短い大気潮汐波が卓越しうることが示された。また昭和基地のほかにDavis基地、Rothera基地のレーダーデータも合わせ、大気潮汐波の水平構造推定を行った。
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