研究概要 |
北海道産,徳島県勝浦産のDesmoceras属アンモナイトについて,殻外部形態,内部構造,初期発生,成長様式を解析した結果,日本のアルビアン期DesmocerasはD. (D.) latidorsatumとD. (Pseudouhligella) poronaicumの2種のみからなることが明らかとなった.これまで,後者に同定される標本はカナダBC州を原産とするD. (P.) dawsoniと誤認されていた.北西太平洋と北東太平洋のDesmoceras属の種構成と各種の生存期間を比較したところ,Pseudouhligella亜属は北東太平洋地域で出現し,その後北西太平洋地域まで分布を拡大したと推測される(Kawabe & Haggart,2003 Journal of Paleontology). アンモナイト化石相と堆積相の関係を考察し,ごく一部の種を除いて,あらゆる堆積相から産出するアンモナイトが多いことが判明し,アンモナイトの群集組成は堆積場に従属性があるとする定説を再検討する必要性を提示した.また,殻表面の装飾と堆積相には従属性が認められない,一方,螺環幅とは明瞭な関係が見出された(Kawabe, in submitted to Cretaceous Research). 北海道蝦夷層群におけるアンモナイトと浮遊性有孔虫を用いた国際標準の化石年代論(アルビアン〜セノマニアン)を議論し,環太平洋地域でのスタンダードを築きあげた(Kawabe et al., in submitted to Acta Geologica Polonica).
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