研究概要 |
過去2億年間に地球上で最もマグマを生産したオントンジャワ海台火山を対象として,岩石溶融実験および全岩化学組成分析を行った.また海台上部に厚く(>1km)堆積する海洋堆積物のホウ素含有量を決定した. 私は国際深海掘削計画のLeg 192に参加し,海台の各地域で採取した数十個の火山岩および堆積物を研究室へ持ち帰ったので,これらを対象とした研究を行った. 火山の活動中は地下数km部分に大規模なマグマ溜まりが存在し,マグマは分別結晶作用を行ったと提案されている.しかし分別結晶作用の程度やマグマ溜まり中の温度・圧力は定量的に見積もられていなかった.そこで平成14年度の常圧(100kPa)での岩石溶融実験に引き続き,今年度は高圧(〜200MPa)実験を行った.実験では内側のカプセルに岩石試料を入れ,外側のカプセルに酸素雰囲気制御剤(Co-CoO)を入れて酸素雰囲気制御を行った.実験により決定した鉱物組み合わせ,マグマ組成,鉱物組成を天然の岩石の鉱物組み今わせ,岩石組成,鉱物組成それぞれと比較することにより,マグマ溜まり中の温度は1160〜1240℃,深さは低圧(6km以浅)と予想した.この成果は地球惑星科学関連学会2003年合同大会にて発表するとともに,2つの論文に執筆を行った(Sano & Yamashita,2004;佐野他,2004). またホウ素は地球内部での流体移動を調べるために有用であり,地球物質中では海洋堆積物に最も濃集しているが,その含有量が明らかでなかった.そこで,海台の38個の堆積物試料について即発γ線分析によりホウ素含有量を決定した.この成果も論文に掲載した(Sano et al.2004).
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