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2002 年度 実績報告書

富山湾海底の地下水湧出の実態とその海洋環境における役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14740313
研究機関富山大学

研究代表者

張 勁  富山大学, 理学部, 助教授 (20301822)

キーワード富山湾 / 海底地下水湧出 / 栄養塩 / 沿岸生態系 / 水収支
研究概要

本年度の研究のゴールは,微量元素や同位体を手段とし,富山湾東部の沿岸海底地下水湧出海域(黒部沖・魚津沖)における化学物質変動のメカニズムを把握すると同時に,陸起源物質の海洋への寄与率を見積もり,物質の拡散と生物基礎生産との関わりを明らかにすることを目的とする。
過去1年の結果から,以下のことが明らかになった。
1)海底湧水の酸素同位体比と主要化学成分は,いずれも付近の河川水や井戸水に良く似た値を示しており,採取された海底湧水は片貝川と起源が同じである扇状地地下水であった。
2)海底湧水のトリチウム濃度と湧水の酸素同位体組成から,採取された海底湧水は平均標高800〜1200mに降った雨が地下に浸透し,10〜20年をかけて海底から湧き出たものであった。
3)海底湧水の栄養塩濃度は,表層海水のそれより数倍から数十倍もの高濃度であった。
4)海底湧水の湧出量は,富山県の河川総流量の30%弱に相当する。
本研究で明らかになった湧出量から見積もると,湧水は河川の1.2〜2倍もの栄養塩を沿岸海洋に供給していることになり,沿岸生態系に大きく影響することが予想される。一方,海底湧水は,農薬など人為起源の化学物質も大量に含まれており,これが沿岸の生態環境や基礎生産へも悪影響を及ぼす可能性も無視できない。これまで地球の水収支において,海底湧水は全く考慮されていない。このような海底湧水の存在は,海洋の物質循環そのものに大きな影響を与えると共に,河川水同様,海洋へ^<14>Cとトリチウムを附加することを考えると,地下水の海底湧出は日本海の循環モデル計算にも影響すると懸念される。現在,富山湾を中心に,地質学的・水文学的な視点からも湧水の定量化を行うと共に,日本海・地球規模の海底淡水湧出の実態およびその沿岸海洋への影響を明らかにする研究へと発展させて行く予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 張勁, 佐竹洋: "富山湾における海底湧水"海洋と生物. 141. 294-301 (2002)

  • [文献書誌] 張勁: "「日本海学の新世紀」角川出版"陸と海がつながる自然の循環系. 272 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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