研究概要 |
本年度は本研究課題に関連した論文を数編発表した。沈み込み帯、特に近畿地方各地の温泉で採取したガス試料の分析結果を元に、フィリピン海プレートと太平洋プレートの年代や沈み込む角度の違いと、表層で観測されるガスの同位体組成の関連について議論した(Matsumoto et al.,2003)。日本列島からさらに大陸よりの地域(中国東南部)産のマントル起源の塩基性斑晶の希ガス同位体に関する研究では大陸周縁部での希ガス組成とプレートの沈み込みによるリサイクル成分に関する議論を行った。また、分析中に起こりうるネオンの同位体分別に関しての理論計算に関する論文を発表した(Matsumoto et al.,2004)。その他、地球表層物質を用いて希ガスのガラス質物質の溶解に関する議論をし、マントル起源の玄武岩ガラスへの希ガスの溶解度との関連に関しても議論した(Pinti et al.,2004 Mizote et al.,2003)。マントル深部物質のLi同位体研究から、プレートの沈み込みに関するリチウムの挙動に関する論文を発表した(Nishio et al.,2003)。 マントル起源物質の希ガス精密測定のための試料破砕用セルの形状に関しても基礎的な実験を行い、来年度以降の分析には新たな形状のセルを用いて行う予定である。今年度はマントル起源捕獲岩の分析、海洋玄武岩試料の分析などに多くの時間を費やした。その結果については来年度以降順次発表していく。
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