研究課題
本年度は当研究の最終年度として、過去のプレート沈み込み帯で激しく交代変質作用をうけた特殊な岩石試料の希ガス同位体分析を行い、その結果を国際学会等で発表した。閣連論文は現在Earth and Planetary Science Letters誌に投稿済で査読を受けている最中である。この研究では、沈み込み帯のマントル内での主要な流体相である水とともに移動する希ガスの痕跡を微細な鉱物中に発見し、その流体の移動がマントルの地球化学的特徴を決定づける主要なキャリアであることをはじめて明らかにした。また、ハワイホットスポット起源岩に見られる大気起源の成分の起源についても希ガス抽出法に工夫を凝らす事によって検討を加えた。深部起源マグマ中に見られる大気的な希ガスについては沈み込むプレートとともにマントルに再注入された成分というよりはむしろ、二次的な混入である可能性が強く、とくに溶岩の急冷ガラスには海水と玄武岩の反応により付加された二次的な大気成分の寄与が大きく、今後同様の試料について研究を行う際には注意が必要である事も示した。結果の一部は本年度の日本地球化学会で発表された。加えてプレカンブリア紀のマントル起源の玄武岩に関する地球化学的研究の結果についての論文を発表し、年代の古い海洋岩石の化学組成と当時の海水成分の関連について議論した。本研究を行った3年間で13編の関連論文を国際誌に発表した。当初の目的であったマントルの進化とプレート沈み込みについて一定の成果を挙げることができたと考える。
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METEORITICS & PLANETARY SCIENCE (印刷中)
Precambrian Research 135
ページ: 331-344
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