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2002 年度 実績報告書

結合音励起による分子集分体再構成過程のパルスX線とラマン測定

研究課題

研究課題/領域番号 14740318
研究機関東北大学

研究代表者

HOBLEY Jonathan  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40332499)

キーワード変化 / ダイナミクス / ラマン測定 / スピノダル / 混合溶液 / 沸騰 / 散乱 / パルスX線
研究概要

ラマンシフターにYAGレーザーの基本波を照射して波長1.9μmのナノ秒パルス光をつくり、これを用いて水の沸騰および二液混合系の相分離を誘起した。いずれの場合にも、ナノ秒時間分解ラマン測定法を用いて分子レベルの情報を得るとともに、ナノ秒画像観察法を用いてマクロな形態変化のモニターも行った。
水の場合には、OH伸縮振動のスペクトル形状からバルクの温度変化を調べた。その結果、結合音励起後25nsたってから液体表面の爆発的気化が起こること、これと同時に一旦上昇した水の温度が急激に低下することが明らかとなった。さらに10μs後には、鋭い等間隔の数本の線スペクトルからなるラマン散乱スペクトルが得られた。これは液滴の内部を共振器とする形態依存性誘導ラマン散乱に起因し、球状液滴が生成する時間スケールに対応するものと考察した。
水とトリエチルアミンあるいはブトキシエタノールを混合した二液混合溶液系の場合、アルキル基のCH伸縮バンドが分子間水素結合の良い指標であることを見出した。これに基づき、水の結合音を励起後200ns程度で分子間水素結合の切断が起こること、その後1μs程度で緩やかに進行する過程が存在すること、分子レベルでの変化はこの時間領域で完了することを明らかにした。マクロな相形成に伴う形態変化は数10μs後に起こり、そのドメイン成長過程はスケーリング則に従った。これらの相分離過程の時間スケールは、従来観測されている微小温度上昇による相分離の時間スケールよりも6桁も小さく、極めて高速の物質移動が起こっていることを示唆している。今後、分子間水素結合切断からマクロ相形成までの時間領域に存在する、液体内微小構造の検出をめざしてレーザー誘起パルスX線源の開発に取り組む予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] A.Takamizawa, S.Kajimoto, J.Hobley, K.Hatanaka, K.Ohta, H.Fukumura: "Explosive boiling of water after pulsed IR laser heating"Phys. Chem. Chem. Phys. 5. 888-895 (2003)

  • [文献書誌] M.Goto, A.Kasahara, M.Tosa, J.Hobley, M.Kishimoto, K.Yoshihara, H.Fukumura: "Low frictional coating by co-sputtering in combination with excimer laser irradiation for aerospace applications"J. Vac. Sci. Tech. A. 20(4). 1458-1461 (2002)

  • [文献書誌] J.Hobley, K.Hatanaka, S.Kajimoto, V.Malatesta, S.L.Williams, H.Fukumura: "Picosecond and nanosecond photo-dynamics of a naphthopyran merocyanine"Phys. Chem. Chem. Phys. 4. 180-184 (2002)

  • [文献書誌] W.O'Neil Parker, Jr., J.Hobley, V.Malatesta: "^2H MAS NMR spectroscopy of olefinic deuterons : photochromic spiro-pyran and merocyanines"J. Phys. Chem., A. 106. 4028-4031 (2002)

  • [文献書誌] J.Hobley, U.Pfeifer-Fukumura, M.Bletz, T.Asahi, H.Masuhara, H.Fukumura: "Ultrafast Photo-dynamics of a reversible photochromic spiropyran"J. Phys. Chem., A. 106. 2265-2270 (2002)

  • [文献書誌] J.Hobley, M.Lear, H.Fukumura: "Molecular and supramolecular photochemistry Vol 9/10"Photo-switching spiropyrans and related compounds. 353-404 (2003)

  • [文献書誌] J.Hobley, K.Hatanaka, H.Fukumura: "Handbook of photochemistry and photobiology Vol 11"Laser transfer of organic molecules (In press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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