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2002 年度 実績報告書

水分子クラスターにおけるトンネル効果の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14740325
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

武次 徹也  お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 助教授 (90280932)

キーワード水分子二量体 / 水素結合 / トンネル効果 / 同種核置換異性体 / 基底関数重ね合せ誤差 / 電子相関 / CCSD(T) / aug-cc-pVTZ / 固有反応経路
研究概要

水分子二量体において有効分子対称群を考えると、最安定構造に対する同種核置換異性体は8個あり、各異性体をつなぐ反応経路は3種類(acceptor tunneling, acceptor-donor interchange, donor tunneling)あることがわかっている。水分子二量体におけるトンネル効果を理論の立場から定量的に調べるため、MP2, CCSD(T)/aug-cc-pVXZ(X=D, T)レベルの電子状態計算により最安定構造および3種の遷移状態構造を求め、結合エネルギー、活性化エネルギーを比較したところ、MP2/aug-cc-pVTZレベルで十分精度良い結果が得られることがわかった。対象とする系が分子間力である水素結合を伴う系であることを考慮して、結合エネルギーおよび分子構造についてはcounterpoise法による基底関数重ね合せ誤差(BSSE)の補正をした計算も行ったが、電子相関を考慮した方法においてはBSSEの補正はむしろ行わない方が基底関数の大きさに関して良い収歛が得られることがわかった。次に、各異性体をつなぐ3種の反応に対し、MP2レベルで決定した固有反応経路をトンネル経路と近似し、半古典論に基づいてトンネル相互作用項の大きさをそれぞれ計算した。各置換異性体間の連結グラフを考慮してトンネル結合行列を作成し、各エネルギー準位がトンネル効果により分裂する様子を見積もったところ、大きい分裂が11.30cm^<-1>、小さい分裂が0.64cm^<-1>となり、実験値11.18cm^<-1>,0.70cm^<-1>と非常に良い一致をみせた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 八木 清: "A new analytic from of ab initio potential energy function : An application to H2O"The Journal of Chemical Physics. 116. 3963-3966 (2002)

  • [文献書誌] 武次徹也: "Multireference perturbation study of ClF4+"Physical Chemistry Chemical Physics. 4. 1722-1724 (2002)

  • [文献書誌] 武次徹也: "Theoretical study of rearrangements in water dimer and trimer"Molecular Physics. 100. 2793-2806 (2002)

  • [文献書誌] 粂田優子: "Direct trajectory simulation on the growth of carbon nanotubes"Chemical Physics Letters. 360. 149-154 (2002)

  • [文献書誌] 八木 清: "Ab initio potential energy surface for vibrational state calculations of H2CO"The Journal of Chemical Physics. 118. 1653-1660 (2003)

  • [文献書誌] 石井啓策: "Theoretical study on the potential energy surfaces of CaNC and CaCN"Chemical Physics Letters. (印刷中).

  • [文献書誌] 武次徹也: "早わかり分子軌道法"裳華房(化学サポートシリーズ). 114 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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