研究概要 |
実施計画書においてあげた4つの目標についてそれぞれ進展があった。 I.有機伝導体の対アニオンとなりうる安定有機ラジカルアニオンの開発 新しいアニオンとして、アニオン部とTEMPOラジカルがそれぞれエステル結合、アミド結合でつながった、TEMPO-OCOCH_2SO_3-およびTEMPO-NHCOCH_2SO_3-の開発に成功した。特に後者のアニオンについてはごく最近になってBEDT-TTFとの錯体を得ることが出来、伝導性、磁性の共存が期待される。これらの結果はまだ論文発表までには至っていないが、これらの結果は日本化学会春年会で報告予定。 II.いままでに開発された安定有機ラジカルアニオンの錯形成および構造物性評価。 今までに我々によって開発されたアニオン、TEMPO-NHSO_3-,TEMPO-OSO_3-を利用し、BEDT-TTFとの錯形成を試みたが、アニオンが不安定なためうまく行かなかった。後者のNa塩を新たに作製し、結晶構造解析にも成功し、弱い強磁性的相互作用があることを明らかにした。この結果についても日本化学会春年会で報告予定。 III.Peter Day教授との共同研究:β"-(BEDT-TTF)_4[(H_3O)M(C_2O_4)_3]Solvent 有機超伝導体β"-(BEDT-TTF)_4[(H_3O)Ga(C_2O_4)_3]Solventの結果が論文になった。また新たにα'-β"-(BEDT-TTF)_4[(H_3O)M(C_2O_4)_3]Solventの開発にも成功した。 IV.X線回折計の立ち上げ 2002年9月より装置が動き出し、今までに50種類以上の構造を明らかにした。
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