研究概要 |
実施計画書に上げた4つの目標のうち、3つについてさらに進展があった。 I.有機伝導体の対アニオンとなりうる安定ラジカルアニオンの開発 11種類の新規アニオン、TEMPO-CONH-(CH_2)_n-SO_3^-(n=O-3),TEMPO-OCO-(o-,m-,p-)C_6H_4-SO_3^-,TEMPO-NHCO-(o-,m-,p-)C_6H_4-SO_3^-,TEMPO-N(CH_3)CO-(o-,p-)C_6H_4-SO_3^-を新たに合成することが出来た。このうちの2種類においてBEDT-TTFとの錯体を得ることが出来た。これらの結果はまだ論文発表するまでには至っていないが、2004年3月に開かれる日本化学会春年会で発表予定である。 II.いままでに開発された安定有機ラジカルアニオンの錯形成および構造物性評価 TEMPO-(OH)SO_3^-アニオンについて、各種有機ドナーとの錯形成はうまく行かなかったが、結晶構造や錯形成における転移反応など、興味深い結果が得られたので、これらについての論文2報を報告した。また、昨年度開発したTEMPO-NHCOCH_2SO_3^-のBEDT-TTF塩ついて速報誌に報告した。この錯体について来年度伝導度の圧力依存を測定する計画のため、クランプタイプ圧力セルを購入した。新たにTMTSF塩も得ることが出来、構造と物性が明らかになったので、日本化学会で発表する予定である。 III.Peter Day教授との共同研究 α-β"-(BEDT-TTF)_4[(H_3O)M(C_2O_4)_3]Solvent(M/Solvent=Ga/PhCH_2CN,Ga/PhN(CH_3)COH,and Fe/PhCOCH_3)について伝導度測定や磁化率測定などによって物性が明らかになり、これらの結果を速報誌に報告した。有機超伝導体β"-(BEDT-TTF)_4[(H3_O)M(C_2O_4)_3]Solventについても数々の物性が明らかになった。
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