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2002 年度 実績報告書

フラーレンの化学修飾による新規環状共役系化合物の合成

研究課題

研究課題/領域番号 14740342
研究機関東京大学

研究代表者

松尾 豊  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00334243)

キーワードフラーレン / ポリアセン / ポリフェナセン / 環状共役系 / 芳香族性 / 有機銅試薬 / ルテニウム / NICS
研究概要

本研究では縮環したベンゼンを環状につなげた新しい環状共役系化合物(環状ポリアセン類,環状ポリフェナセン類)の合成研究を行っている。これまでに[60]フラーレン(C60)の南北両極を化学修飾して上下にシクロペンタジエン部位を形成させることにより,赤道部分に新規40π共役系を収率5%で合成することに成功していた。これまではシクロペンタジエン部位の保護・脱保護を経る多段階にわたる合成経路で合成していたが,本年度は合成経路を簡略化することに成功し,環状ポリフェナセン類を1段階で収率50%で合成する手法を確立した。ついで,上下に存在するシクロペンタジエンを酸素酸化によってエポキシドへと酸化し,40π共役系のみを取り出すことに成功した。得られた40π共役系化合物の蛍光測定,電気化学測定,ESR測定,磁化率測定を行い,全く新しい40π系環状ポリフェナセンの性質を明らかにした。また,得られた化合物の量子化学計算を行い,ヒュッケル則にあてはまらない40π共役系を有する本化合物は,芳香族性を有する化合物であることを示した。
また,種々の遷移金属錯体へと誘導することにも成功した。南北両極に鉄,ルテニウム,ロジウム,パラジウムを有する二核金属錯体を合成し,それらの構造を明らかにした。電気化学測定により,これら二つの金属の間で電子的な影響を及ぼしあっていることを明らかにした。
以上のように,理論化学のみで研究されてきた架空の40π共役系環状分子が実際に合成でき,安定に存在しうることを示した。さらに実験的手法に理論的手法の両面から合成した分子の性質を調べた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 澤村正也: "Cu(I)-Mediated Regioselective Tri-addition of Grignard Reagent to [70]Fullerene. Synthesis of Indenyl-type Metal Ligand Embedded into Graphitic Structure"Journal of Materials Chemistry. 12. 2109-2115 (2002)

  • [文献書誌] 澤村正也: "Hybrid of Ferrocene and Fullerene"Journal of the American Chemical Society. 124. 9354-9355 (2002)

  • [文献書誌] 澤村正也: "Stacking of conical molecules with a fullerene apex into polar columns in crystals and liquid crystals"Nature. 419. 702-705 (2002)

  • [文献書誌] 中村栄一: "Synthesis, Structure and Aromaticity of a Hoop-shaped Cyclic Benzenoid [10] Cyclophenacene"Journal of the American Chemical Society. 125. 2834-2835 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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