• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

スピロジエノンの面選択的Diels-Alder反応とその天然物合成への応用

研究課題

研究課題/領域番号 14740349
研究機関広島大学

研究代表者

高木 隆吉  広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90304394)

キーワード交差共役ケトン / Diels-Alder反応 / Scyphostatin / 全合成 / 面選択性 / スピロ環化合物 / 立体選択性 / Cieplakモデル
研究概要

4-メチル-4-シアノ-2-シクロヘキサジエノン、4-メチル-4-メトキシ-2-シクロヘキサジエノン、4-メチル-4-メトキシカルボニル-2-シクロヘキサジエノンを合成し、シクロペンタジエンとのDiels-Alder反応を行った。溶媒として塩化メチレンを用いると、4-メトキシ体、4-メトキシカルボニル体はシクロペンタジエンとほとんど反応しなかった。4-シアノ体はシクロペンタジエンと反応し、環化付加生成物が収率61%で得られた。この反応の面選択性は97:3でメチル基側からシクロペンタジエンが反応した環化付加生成物が主生成物であった。溶媒としてトリフルオロエタノールを用いると、4-シアノ体、4-メトキシ体、4-メトキシカルボニル体、すべて反応が進行した。すべての反応において主生成物は4-メチル基側からシクロペンタジエンが反応したもので、その面選択性は91:9〜97:3と高いものであった。これらの基質のDiels-Alder反応について非経験的分子軌道計算を行ったところ、反応で得られる主生成物は速度論的および熱力学的に安定な生成物であることがわかった。これらの基質のLUMOの軌道係数を計算したところ、4-メチル基側がもう一方の置換基に比べて小さいことがわかった。これらの基質のDiels-Alder反応における高い面選択性は4位にスピロ環を有するシクロヘキサジエノンの場合と同様に、Cieplakモデルで説明できると考えられる。
これまでに見出したスピロジエノンの面選択的Diels-Alder反応をScyphostatinの全合成に応用する検討を行った。L-チロシンから得られるスピロジエノンとシクロペンタジエンとのDiels-Alder反応を行った。このDiels-Alder反応も高い面選択性で反応が進行した。得られた環化付加生成物のエポキシ化反応により酸素官能基を導入し、そのエポキシドの開裂、逆Diels-Alder反応、カルボニル基の還元、エポキシ化反応によりScyphostatinの親水性部分を合成した。この親水性部分と以前に合成した疎水性部分とを結合した。現在、全合成の完了を検討中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] S.Begum, M.Rahman, R.Takagi, K.Ohkata: "Facial selectivity in nucleophilic epoxidation of 3-aryl-2-phosphonoacrylates induced by the (-)-8-phenylmenthyl moiety a as a chiral auxiliary."Heterocycles. 62. 251 (2004)

  • [文献書誌] W.Miyanaga, R.Takagi, K.Ohkata.: "Synthetic study of an analogue of the hydrophilic moiety of Scyphostatin via π-facial selective Diels-Alder reaction."Heterocycles. 64(in press). (2004)

  • [文献書誌] R.Takagi, S.Tsuyumine, H.Nishitani, W.Miyanaga, K.Ohkata: "Stereoselective synthesis of the hydrophobic side chain moiety of Scyphostatin."Australian Journal of Chemistry. 57(in press). (2004)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi