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2003 年度 実績報告書

不整合格子をもつ有機超伝導体の超伝導機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14740377
研究機関東京工業大学

研究代表者

川本 正  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60323789)

キーワード不整合格子 / 有機超伝導体 / X線写真 / ラマンスペクトル / 上部臨界磁場 / ピン止め
研究概要

MDT-TTFのセレン誘導体であるMDT-STのヨウ素錯体は、有機ドナー分子と無機アニオン分子が不整合格子を組む有機超伝導体である。ラマンスペクトルからヨウ素原子はI^-_3を単位とした無限鎖を形成している事を明らかにした。ヨウ素無限鎖をもちGolden Olive色をした有機超伝導体はこれが最初である。さらにX線写真の解析により化学的組成を(MDT-ST)(I_3)_<0.417>と決定した。
電気抵抗は金属的振る舞いを示し超伝導転移するが、熱起電力は正から負への符号の逆転、大きな負のフォノンドラッグを示す。低温でのヨウ素に起因するラマンスペクトルの分裂はヨウ素無限鎖に変調が起きている事を示唆しているが、低温のX線写真には明障な衛星反射は確認できなかった実験結果は非常に弱い変調もしくは長距離秩序を持たない変調である事を意味している。この変調が負のフォノンドラッグの原因であるウムクラップ散乱を強めていると考えられる。
超伝導を破壊する上部臨界磁場はパウリ限界内に収まる。伝導シートに垂直な方向のコヒーレンス長がシートの厚みよりも長いこと、臨界磁場の角度依存性が三次元的に振る舞うことから、三次元的な超伝導特性をもつことが明らかになった。しかし、超伝導の転移幅は、高温超伝導体を含む他の層状化合物超伝導体とは異なる温度依存性を示した。これは、ヨウ素無限鎖による強い磁束のピン止めが起きている事を示している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 川本 正: "Electronic state anisotropy and the Fermi surface topology of the incommensurate organic superconducting crystal (MDT-TSF)(AuI_2)_<0.436>"Eur.Phys.J.B. 36. 161-167 (2003)

  • [文献書誌] 瀧宮 和男: "Organic superconductors based on a new electron donor, methylenedithio-diselenadithiafulvalene (MDT-ST)"Chem.Mater.. 15. 1225-1227 (2003)

  • [文献書誌] 瀧宮 和男: "New organic superconductors with an incommensurate anion lattice consisting of polyhalide chains (MDT-TSF)X_y (MDT-TSF=Methylenedithio-tetraselenafulvalene ; X=Halogen, y=1.27-1.29)"Chem.Mater.. 15. 3250-3255 (2003)

  • [文献書誌] 竹内 智朗: "Uniaxial strain effect on the θ-phase organic conductor with a large dihedral angle, θ-(TMET-TTP)_4PF_6"J.Phys.Soc.Jpn. 72. 1152-1154 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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