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2002 年度 実績報告書

金属絶縁体転移を示す新奇遷移金属化合物の研究

研究課題

研究課題/領域番号 14740382
研究機関京都大学

研究代表者

加藤 将樹  京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90271006)

キーワード低次元磁性 / 磁気フラストレーション / 軌道秩序 / スピン一重項 / 強相関 / NMR
研究概要

低次元構造を有する磁性体では、構造的にフラストレートしたバナジウムや銅の酸化物において、d軌道秩序によってスピン一重項が実現していると考えられるような系が幾つか報告され、注目されている。本研究では主に2つの系について、強相関ならびに磁気フラストレーションに起因する物性を示す化合物の研究を行った。
Hollandite構造をもつバナジウム酸化物、Bi_xV_8O_<16>は、近年我々によって初めて金属絶縁体転移(MI転移)が見いだされたが、この化合物では、VO_6八面体が稜を共有して二重鎖を形成し、擬1次元的三角格子を形成している。従って、バナジウムスピン間にフラストレーションに起因するスピン・軌道の量子効果が期待され、低温における基底状態が非常に興味深い。^<51>V核NMRを中心とした物性測定により、この物質ではx=1.78(V^<3+>:V^<4+>=2:1)の組成において、電荷秩序に伴った軌道秩序が起こり、2つのV^<3+>が対を作ってスピン一重項状態を形成していることが明らかになった。さらに、BiサイトをPb,Baなどで置換した系も合成に成功し、x組成による反強磁性スピン揺らぎの変化を詳細に明らかにした。
また、トリルチル構造を持つCuSb_2O_6における低次元磁性が、正方格子を形成するCuスピンの辺方向(J_1)および対角線方向(J_2)の2つの反強磁性相互作用のフラストレーションに起因することを明らかにし、さらに低温での磁気構造がコリニアーオーダーであることを示した。この物質において、J_1/J_2(=α)をさらに小さくすることができれば、スピン一重項状態などの新奇物性が期待される。そこで、SbをTaで置き換えたCuSb_<2-x>Ta_xO_6系(0<x<1)を合成し、αを系統的に変化させた試料における磁性を詳細に検討した。その結果、x=0.6付近において低温における反強磁性磁気秩序が消失することが明らかとなった。現在、NMR測定を用いて、この系の基底状態を詳細に検討している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Kato: "Magnetic Properties of CuSb_<2-x>Ta_xO_6 with tri-rutile structure"J. Phys. Chem. Solids. 63. 1129-1132 (2002)

  • [文献書誌] T.Waki: "^<51>V NMR Study of the V Hollandite system, Bi_xV_8O_<16> : spin-singlet formation below M-I transition"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 160-162 (2002)

  • [文献書誌] M.Kato: "Magnetic Structure of CuSb_2O_6"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 187-189 (2002)

  • [文献書誌] A.Irizawa: "Collapse of Superconductivity in the Y123/Y124 Superlattice System Y_2Ba_4Cu_7O_<15-δ>"J. Phys. Soc. Jpn.. 71. 574-581 (2002)

  • [文献書誌] H.Sakurai: "Antiferromagnetic order in 2D-spin system Cu_3B_2O_6"Phys. Rev. B. 66. 024428-1-024428-6 (2002)

  • [文献書誌] H.Sakai: "Low-temperature structural change and magnetic anomaly in supercnduciton Cd_2Re_2O_7"Phys. Rev. B. 66. 100509-1-100509-4 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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