1.コラーゲン膜被覆電極によるアビジン-ビオチン間相互作用のボルタンメトリー的評価 タンパク質は、生体に対して高い親和性を持つため生体機能性材料としで有用である。コラーゲンはリジンなどのアミノ残基を多分に有しており、弱酸性領域ではプロトン化したアミノ基との静電的相互作用により、ストレプトアビジン(pl 5)がコラーゲン膜表面上に固定化される。この修飾コラーゲン膜で被覆した電極を用い、電極活性物質であるドウノマイシンでラベル化したビオチン(LB)とストレプトアビジンとの結合をモニタリングした。その結果LBの電流値は膜の有無によって50%程度減少ずるものの、LBの膜透過性が確認された。また、修飾電極、とLBと混合するとLBの電流値は減少した。これは、LBがストレプトアビジンのビオチンの結合サイトに取り込まれたためであると考えられる。それゆえ、この電極はタンパク質-リガンド間相互作用を評価するための新しいモチーフとなることが期待される。 2.Wheat Germ Agglutinin(WGA)-糖質間相互作用のボルタンメトリー的評価 小麦由来のレクチンであるWGAと選択的に結合する糖質をドウノマイシンでラベル化し、ボルタンメトリーによりそれらの相互作用についての検討を行った。二糖類であるセロビオース、キトビオースは、ドウノマイシンとのシッフ塩基反応によりそれぞれラベル化される。同濃度におけるラベル化キトビースのピーク電流値は、ラベル化セロビオースの1.5倍となった。WGAとの結合力はドウノマイシン部位のWGAの被覆による電流値の変化から見積もることができ、ラベル化キトビオースの結合力が強くなっていることがわかった。この挙動の違いは、キトビオースが持つアセチルアミド基の影響によるものと考えられる。
|