研究概要 |
環境条件での微量元素吸着除去機構の研究として、鉛とヒ素を取り上げた。1.0ppmおよび100ppb鉛水溶液から新規吸着剤[Mg_3Fe(OH)_8]_2(CO_3)・3H_2Oへの吸着除去メカニズムの研究を行なった。また、1.0ppmヒ素水溶液から[Mg_3Fe(OH)_8]_2(CO_3)・3H_2Oおよび更に鉄サイト比を増加させるためFeO(OH)コロイドをモンモリロナイト層間に導入した吸着剤それぞれへの吸着除去メカニズムの研究も試みた。 上記Mg-Fe層状化合物は17.4重量%もの鉄を含み、微量鉛サイト構造および電子状態を調べる際の障害となった。そのため、X線吸収微細構造(XAFS)測定において試料からの蛍光X線を結晶分光し、微量鉛からの信号(Pb Lα_1線)のみを検出しながらXAFS測定した。1.0ppm溶液からは塩基性水酸化鉛凝集が、100ppb溶液からは表面水酸基とのイオン交換が観測された。 ヒ素吸着剤の開発は完了していないが、現在のところ、FeO(OH)コロイドを10-20重量%鉄相当でモンモリロナイト層間に導入したものが最もAs(III), As(V)吸着除去に高効率である。ヒ素についても、50ppb程度の環境水中濃度規制がなされるようになってきている。重元素(鉄)多量存在中での微量元素吸収端測定・X線吸収端近傍構造(XANES)スペクトル高エネルギー分解能化によるspeciationの精密化、試料中のAs(III)とAs(V)とを峻別したXAFS(XANES)スペクトル測定を可能にするために、ヒ素についても蛍光分光XAFS測定を行なった。1.0ppmヒ素水溶液から吸着させた場合、As(III),As(V)いずれからの場合でもAsO_2(O_<surface>)_2種としてFeO(OH)コロイドへ吸着することが示唆された。
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